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2013年4月12日 (金)

「マフィンとアールグレーと」

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マフィンとアールグレーと。

20年前の学生時代のコト。ロンドンの学校まで片道2時間。

自転車、国鉄、地下鉄。

朝早いため、決まって朝食は国鉄の中で。

駅の売店で、マフィンとアールグレーを買う。

ほぼ毎日同じ。

車両の中は、ほぼ毎日同じ顔ぶれで、同じ景色を眺めながらの朝食。

もちろん帰りも同じ。キングズクロスの駅で、

ハンバーガーかサンドウィッチを買って、電車の中で夕食。

宿題も電車の中。そんな毎日が、2年弱続いた。

決して、楽しい学園生活ではなかった。

同級生はみんなライバル、授業も難しいし、...宿題もいっぱい。

イギリスの食事は美味しくなかったし、生活するだけで大変だった。

パソコンも、インターネットもない時代。

ただ、電車の中で食べるマフィンとアールグレーが、数少ない楽しみだった。

特別、美味しいってわけではないが、この朝の時間が大事だった。

CDウォークマンから流れる詩が身に染みた。

「頬を突き刺す怖さがあっても、立ち向かう勇気が欲しい、

曲がりくねった迷路で、ほんとうの自分を探すんだ」

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